中小企業のIT経営・デジタル化・DXを推進

COMPASSONLINE

DX時代の経営に役立つ情報を提供します。
冊子・IT経営マガジン「COMPASS」&中小企業のIT活用事例に基づく各種サービス

埼玉県よろず支援拠点訪問―課題別に1社を複数の専門家が連携支援

2018年 冬号 2017.11.29


県の方針と連動し各機関とのパイプ深める 
 ―埼玉県よろず支援拠点(公益財団法人埼玉県産業振興公社)

都道府県単位で地域企業の課題にワンストップで対応する中小企業庁の支援事業「よろず支援拠点」。

埼玉県産業振興公社に設置された埼玉県よろず支援拠点では、2016年に15名(現在は16名)のコーディネーターで約6300回の相談を実施。今年はさらにペースアップしている。

よろず支援拠点は全国共通の方針を基盤にしつつ、地域の事情を踏まえた支援を広げている。埼玉県で形作ってきた特徴について、チーフコーディネーターの越智隆史氏は、次のように説明する。

「埼玉県では、経営革新計画の支援に取り組んでおり、承認数が3年連続全国1位です。よろず支援拠点ではこの支援を一つのテーマに商工会議所や商工会等と連携しています。さらに地元の金融機関と包括提携しており、金融機関が開催する個別相談会に呼んでいただく機会も増えています」

3年の活動を通じて、各機関とのパイプが深まったという。

1711_P20-A
埼玉県よろず支援拠点
http://www.saitama-j.or.jp/kikaku/yorozu/

チーフコーディネーター 越智隆史氏(写真右)
コーディネーター 小笠原富美子氏(中央)
実施機関である公益財団法人埼玉県産業振興公社
吉野一氏(左)

埼玉県は、東京につながる鉄道網が南北に張り巡らされている。その分、東西の行き来に時間がかかる側面もある。

そこで、拠点は大宮に置いているが、西部の秩父、東部の八潮の2か所にサテライトオフィスを設置し、13地域で出張相談会を開催するなど、積極的に各地へ出向いている。

「月2回はミーティングを行いコーディネーター間で情報共有をしています。また企業の課題に応じて、得意分野を持つ複数のコーディネーターが1社をチームで支援することも多々あります」と越智氏。記帳相談を受けたものの販売促進が緊急課題だったなど、相談の過程で真の課題が見えることも珍しくないそうだ。分野ごとに専門家を置き中小企業をワンストップで支援できるよろず支援拠点ならではである。

実施機関である埼玉県産業振興公社の主査・吉野一氏は、「公社も様々な相談を受けていますが、ここまで多彩な専門家にどんなことでも相談できるのはよろず支援拠点が初めて。地域企業の利益に貢献できていると自負しています」と話す。

多彩な専門家による「チーム力」は埼玉県よろず支援拠点の強みといえる。

 

IT分野もプロを配置
チーム力で“真の課題”に対応

 

埼玉県よろず支援拠点では、IT分野に担当者を配置している。今や中小企業の経営にITは欠かせないから、専門家を配置しているのは大変心強い。

担当は中小企業診断士・ITコーディネータの資格を持つ小笠原富美子氏である。赴任した2014年9月からののべ対応件数は1200件、最も多い相談内容はホームページの作成(約500件)であるという。

「ホームページで売上をなんとかしたいという方が多いのですが、私はその前のストーリー作りを重視し、必要な時間をかけます。『ホームページを作らせてくれない人』と言われるほどです」
と小笠原氏は笑う。この姿勢が効果の出るIT活用につながる。そのほか、販路開拓や広報戦略、POSレジなどシステム導入に対応。

レディスファッションnoi bloom社の支援では、店舗経営相談からPOSレジ導入、そしてECサイトの構築へと、埼玉よろず支援の専門家のチーム力、そしてIT分野の支援力の両方が発揮され、支援効果が出ている。

 →noi bloomのIT活用事例はこちら