すごいぞOCR AIの力で読み取り力アップ! 使いやすいRPAも
2019年 春号 2019.03.06
ペーパーレス化はIT活用による業務改善の1つであるが、現場では、そう簡単にいかないのも事実。業務内容や顧客・取引先との関係から、手書きの契約書、FAXによる受発注書、納品書や検収票等々を自社都合でデジタル化するのは難しい。領収書の処理など、社内業務でも同様だ。こうした紙の情報は、業務システムに反映させるため人がデータ入力を行わなければならない。
できるだけ効率化しようとOCR(光学式文字認識機)を導入するも、チェック・修正に時間をとられたり、見落としによるミスも起きてしまう。
しかし、この課題への対応策が登場した。
NTT東日本が提供開始に向けてトライアルを進めてきた「AIよみと〜る」だ。OCRの便利さに、AIの学習機能が加わり、より高精度の読み取りを実現する。
スキャンしてアップするだけ、高い読取精度!
「AIよみと〜る」は、クラウド型サービス。紙の帳票などをスキャンしてPDF化し、クラウド上のアプリケーションにアップロードすると、文字を認識してCSVファイルを生成する。
文字認識にAIの学習手法であるディープラーニングや補正用データベース(住所データベースなど)を活用し、非常に高い読取精度を実現。しかも、文字の崩れやはみ出し、複数行の折り返し文章、訂正を入れた文章、チェックボックスへの記載なども高精度で判読する。
画面は直観的でわかりやすく、最初の帳票登録や読み取り箇所設定も簡単に行える。
*利用時は、スキャナーおよびインターネット接続環境が必要です。
システムへの入力も自動で中小企業に使いやすいRPA
読み取ったデータを販売管理などの社内システムへ入力・登録することもあるが、NTT東日本では、こうした作業を自動化する「おまかせRPA」も提供し、現場をサポートする。RPAとは「ロボティック・プロセス・オートメーション」。繰り返し行われるパソコンを使った業務を自動化するソフトウェアである
たとえば、「AIよみと〜る」からのCSVデータダウンロード、業務システムへのデータ投入の一連の動作を、事前に作成した「シナリオ(動作情報)」に沿って自動化する。
初期設定や操作などについては年中無休(9時〜21時)の遠隔サポートを受けられる。
RPAは、他の業務にも適用が可能だ。「業務のどこを自動化するか」「シナリオをどう作成するか」などの悩みには、有料の訪問サポートで対応。システムに詳しい担当者が社内にいなくても挑戦できる。
*ご利用にはインターネット接続環境およびNTT-AT株式会社とソフウェア使用許諾契約が別途、必要です。
2カ月間のお試し導入やオンラインのデモ体験も
トライアルに参加した企業は、手書き文字・活字ともに非常に高い読取精度で、「おまかせRPA」を組み合わせた業務効率化も確かな成果を収めている。
賃貸不動産業のある会社は、手書きの契約申込書のデータ化および基幹システムへのデータ投入で読取精度約94%、稼動時間の削減約55%短縮という結果を得た。
税理士業のある会社は、相続手続き業務における預金通帳のデータ化に活用。通帳印字を約97%の読取精度で読み取れたことでエラーチェックの負荷も大幅に軽減され、帳票1枚当たりにかかる稼動時間を54分42秒から9分15秒と約83%短縮できた。
「AIよみと〜る」では、解約金設定のない「2カ月トライアルメニュー」や、Webサイト上での対面型オンラインデモも提供されている。機能の詳細や導入効果を確かめて、働き方改革、人員の有効活用につなげたい。
*1 お問い合わせの内容によっては対応できないこともあります。
*2 2018年8月〜9月に行ったトライアルにおける申込書(手書き)の氏名、住所、電話番号(計2033文字)の読取精度(正解数/全文字数)
*3 トライアル前(2018年7月)とトライアル時(2018年8月〜9月)の申込書の読取〜システム投入にかかる帳票1枚あたり処理時間の比較(対象帳票数400枚)。
*4 2018年8月〜9月に行ったトライアルにおける預金通帳(活字)の氏名、日時、金額(計1万3117文字)の読取精度(正解数/全文字数)
*5 トライアル前(2018年7月)とトライアル時(2018年8月〜9月)の預金通帳の読取〜システム投入にかかる帳票1枚あたり処理時間の比較(対象帳票数1000枚)。