IT企業から「しくみづくり屋」へ 創意工夫の場が企業を活性化する
2015年 春号 2015.05.01
モバイル向けサービス提供側の意見
エムトーン 代表取締役 永田祥造氏
──汎用的なタブレット・スマホでできる飲食店オーダーエントリーシステム「ぷう太郎」は契約数が伸びているそうですね。
永田社長(以下敬称略) ほとんど広告宣伝をしておらず、紹介や、導入企業が他の店舗へ展開されるケースが多いです。
──リピートが多いのは顧客満足が高い証ですね。モバイル端末は操作もしやすいなど「使いやすさ」も大きいのではないですか。
永田 操作は十分なくらい簡単になっています。むしろ最近は、経営者の方に『簡単にして』と言わないで、とお話ししています。
──というと…?
永田 「簡単、カンタン」と思っているとITのデバイスは「あてがわれるもの」になり、脳は退化しかねません。
コミュニケーション面でも、SNSで文字だけの閉じたやり取りをしていたら、その内容を上司が把握できないという弊害が生じます。使い方を間違えないことが大切です。
──では、「カンタンになったIT」をどう使えばよいですか。
永田 何も考えない簡単さでなく、社員が考えて仕事ができる、創意工夫の楽しさを作っていくことではないでしょうか。
例えば、飲食店での売上の集計、タイムカードの記録と集計はカンタンにできるようになった。そこで「楽になった、終わり」ではなく、弊社ではデータを使って「店舗の人時売上」を出しませんか、と提案したことがあります。操作はカンタンになっても経営は簡単になりませんから。
──IT企業という概念に収まらないですね。
永田 「うちらは、しくみづくり屋です」と言っています。ITは人件費節約のために使うのではない。お客さんを楽しませる度を上げる、働く人のメンタルをケアできるなど、顧客企業の「人財」育成に貢献していきます。