【連載】あいてぃのある職場日記(15年秋)
2016.01.21
「邪推」
この夏から勤務地がターミナル駅周辺に変わって早3カ月。
やたらと仕事のできそうに見えるビジネスマンたちが改札から颯爽と飛び出して早足で会社へ向かう姿を見ると、つくづく場違いなところに越してきてしまったと思う。
こちらはみなさんの邪魔にならぬよう端っこをマイペースに歩いているが、それでも会社に着くころには言いようのない疲労感に襲われ、コーヒーの一杯でも飲んでからじゃないと仕事を始める気にならない。この歳になって、またひとつ仕事が捗らない言い訳が増えた。
肝心の飲み屋開拓のほうも、やれ2時間制だの何だのとおっさんが自分のペースでゆっくり飲める店が少なく、遅々として進まない。
だからといってわざわざ電車に乗って昔のなじみの店に行くのも何だか億劫で、最近はもっぱら家飲み中心になったが、そうなったらなったで今度はかみさんのペースがつかめない様子で、結果、家でも隅っこのほうで家族の邪魔にならないよう独り寂しく飲んでいる。
私がセンターを取る日は、一生来そうにない。
そういえば、我が家にはマイナンバーの通知カードもまだ来ない。
役所の手続きなどに行くことはほとんどなくなったので、マイナンバーが配られると何がどううれしいのかよくわからんが、通知カード自体がどんなものかは変に関心があるので、到着を今か今かと待ち構えている。
そんなマイナンバー。サラリーマンにとってもいろいろと影響があるようで、バイトをしているような働き者?は結構たいへんになるかもしれない。
ITの世界だと情報漏えい・セキュリティのあたりが活況のようだが、変わったところだとマイナンバーが始まると、たんす預金が増えるからということで、金庫屋さんが大忙しらしいとか。
「風が吹けば桶屋が儲かる」じゃないが、マイナンバーが始まると意外な人が儲かったりするのかもしれない。
私以外の誰かが。
世中 渉(よのなか・わたる)
著者プロフィール:メーカーに入社27年目の元営業職。
出世はおまけと割り切りつつも、上司と部下に挟まれて迷い多き日々を送っている
中年風中間管理職。