専門家が解説 Office 365の徹底研究(第2回)
2015.12.18
中小企業のIT活用に欠かせない「Office 365」。意外と知られていない特徴や活用法について専門家に解説していただく。(編集部)
一般社団法人ヒューリットMF(経営革新等支援機関)
藤岡秀和氏(ITコーディネータ)
http://www.hritmf.com
使いたいアプリはどれか 業務内容に沿ったプラン選択法
「Office 365」には大きく分けて2つのプラン系列(ファミリー)があります。
一つは、すべての規模の企業(組織)向けの「エンタープライズ」ファミリー、もう一つはIDが300以下での利用に限定した「ビジネスプラン」ファミリーです。
グループウェアの有無は?
「Office 365」を新たに導入する場合、まず、単一組織としてスケジュールやデータファイルを共有し、メッセージ交換等を行うユーザー数を調べ、ユーザー数が300を超えていれば選択肢は「エンタープライズ」ファミリーのみとなり、300以下であれば「ビジネスプラン」ファミリーも該当します。さらに、ユーザーごとあるいは部署ごとにWord、Excelなどオフィス系のアプリケーション群(以下、オフィススイート)に含まれる機能の必要度、グループウェアの必要度を考慮しプランを絞り込んでいきます。
各プランをオフィススイートの必要度、グループウェアの必要度で分類すると表のようになります。表内のすべてのプランにオンライン版のOfficeである「Office Online」が含まれていますので、オフィススイートを含まないプランでも、オンライン環境であればブラウザー上で共有オフィスファイル(Word、OneNote、PowerPoint、Excel)の閲覧や文書・数値の入力など簡単な変更が可能です。
契約内でプランの混在が可能
「Office 365」では一つの組織として契約する単位を“テナント”と呼びますが、テナント内でプランを混在できるため、テナント全体でプランを統一する必要はなく、利用者ごとに適したプランを選択することができます。
またテナントは管理機能によって、各プランを必要とする人数に沿って、“サブスクリプション”を購入することになりますが、サブスクリプションの購入とサブスクリプションの利用者への割り当ては分離されています。そのため、組織内の配置転換等によるユーザーが必要とするサブスクリプションの変更にも、解約と再購入を行うことなく、サブスクリプションの解除と割り当てによって柔軟に対応させることが可能です。
これまでのOffice製品はインストールするデバイス(PC等)の台数に対してのソフトウェアの買い取りでしたが、「Office 365」はユーザーごと、月ごと(あるいは年ごと)の使用権利となっています。これはPC(デバイス)の台数に応じた課金から利用ユーザー数に応じた課金への転換であり、必要な機能を必要な方に提供する利用実態に沿った課金方法です。
「Office 365」の導入検討は各部署の業務内容や使用機器・使用形態を見直す絶好の機会ではないでしょうか。