味に自信のステーキ&ハンバーグ店の集客策とは?<IT活用事例>
2017年春号 2017.02.21
POSレジデータを活用した販促とSNSによるファンづくり
昼食時間帯が近づくと続々顧客が入店し、店内は活気に包まれる。
群馬県高崎市のハッピーアイランド(店名GGC)は、「ステーキ&ハンバーク」の店として地元の人々に親しまれている。県内に3 店舗を構える。
2代目経営者である福島健司社長は、店のコンセプトを「群馬県ならではの専門店として上州牛に特化し、またドレッシングに至るまですべて手作りをし、大手チェーン店にはできない味を提供しています」と説明する。
会社名 |
有限会社HAPPY ISLAND(店名:GGC) |
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所在地 | 群馬県高崎市緑町1-28-2 |
設立 | 2003年 |
従業員数 | 40名 |
事業内容 | 飲食業(ステーキ・ハンバーグなど)(群馬県内に3店舗) |
URL |
食べれば納得してもらえる確かな品質・味。ではそれをどうやって多くの人に伝え、来店頻度を上げるか。特に、東日本大震災が起きた2011年は客足が鈍り、広告宣伝費を抑えつつ効果の上がる集客方法の検討を迫られた。
同社取締役の福島展子氏が取り組んだのは、データを活用した販促策と効果検証、そしてSNS の活用だった。
「こんな感じ」を「いつ、何を、どのくらい」に
まず、同社は 7年ほど前に、POSレジシステムおよび、レジデータと連動できるポイントカードシステムを導入。オーダーを受けるときにアンケートの記入とカード加入の声掛けを徹底し、ポイントカードの登録者は約4万人に増えた。
システム導入後、まず、改善したのはDMの出し方だ。良く足を運んでくれる顧客など目的に応じて対象を絞ってからDMを出すようにした。その結果、経費を抑えながら来店回数を増やすことができた。
DMを出した顧客のうち、誰が来店して何を食べたかを把握できるので、効果も検証しやすい。DMのヒット率は30%を超えているという。
また、「売れていると思っていたメニューと実際に選ばれたメニューがズレている時もデータからわかるので、利益が取れるメニュー開発の手がかりにしています」と福島取締役は話す。
もう一つ、新しい発見は、店舗の立地と来店者の居住地域が必ずしも想定と一致していなかった点だ。新聞に折り込み広告を入れる地域を変えたり、販促の判断材料として使っている。
今後取り組みたいのは、一度来店した顧客の「三回目の来店タイミングをつかむこと」だという。
「初回来店後にはDMなどアクションを起こしていますが、その先は十分把握できていませんでした。三回目はどのタイミングなのか、どんな販促が効果を上げるかなど、いくつかのパターンを試し効果測定してみたい」(福島取締役)とのことである。
打つ手を決め、結果を検証する基盤としてデータが活かされている。
SNSで継続的にファンを増やす
次に、新規の顧客を増やす方策として、福島取締役が着目したのがSNSだった。
地元で開始された勉強会に参加してFacebookの活用方法を学び、店のFacebookページを開設した。
「初めは、来店された方にFacebookでのチェックインをしてくださるようお願いしました。チェックインでソフトドリンク1杯サービスのキャンペーンも行っています」
Facebookでは、投稿やチェックイン情報が本人の「友達」にも伝わる。GGCのことや食べた料理の写真などを「口コミ」できるのだ。情報を公開している投稿者には、まめにお礼のメッセージを送っているそうだ。
ズバリと伝え来店を喚起する投稿
投稿は、月替わりのメニューやイベント情報、顧客の感想に加え、おいしそうな看板メニューの写真を添えて「本日も11時から営業しています」とのメッセージを毎日出している。
「私たちが求めるのは『来店』ですので、朝5時に投稿予約をして、毎朝呼びかけています」(福島氏)
人気のハンバーグやステーキのおいしそうな写真は、「食べたい」「また行ってみよう」と顧客の感情を刺激する。
SNSはスマートフォンからも投稿できるので、仕事や家事の空き時間に使えるのも便利だという。
こうした「SNSによる口コミ」をベースに、現在、ひと月に500人くらいの新規顧客が来店する。その顧客に対して、会員登録を促しDMなどの販促策を合わせることで、5年前と比べて来店数は25%アップ、広告宣伝費は40%削減することができた。
「一つのことだけでなく、SNSによる情報の広がり、従業員一人ひとりの声掛け、バックヤードのITがつながった結果、売上が上昇してきたと思います」と福島氏は分析する。
この手ごたえを自信に、目指すは県内10店舗の出店である。
支援機関紹介
ハッピーアイランドに「攻めのIT 経営中小企業百選」応募を勧めたのが、高崎商工会議所である。福島氏は情報収集や支援策の申請などで商工会議所を積極的に活用している。
推薦の理由を高崎商工会議所経営支援課の主査・梅澤史明氏は次のように説明する。
「車社会になり、店舗は立地より“人を集める策”が大切になりました。同社はイベントに積極的に出て接点をつくりSNSで店舗に呼び込み、さらに情報を広めるなど、リアルの動きとネットを上手に連携させてマーケティングの形を確立していると感じました」
高崎商工会議所では、地域の企業に対し、融資や経営相談のほか、タイムリーな企画を適宜混ぜての年間15 回以上のセミナー、バイヤーを招いての商談会などに意欲的に取り組んでいる。
梅澤氏は、「売上を伸ばすための支援に、より一層力を注いでいきたい」と力を込めて方針を語った。