会社の取り組みや成果を客観的に診断・広報できる方法とは?
2017年 秋号 2017.08.23
若年人口の減少から人材難が大きく取りざたされる昨今、求職者は人を大切にする企業─快適な職場環境や適正な労務管理を実現しているかどうかを重要な評価ポイントの一つとしている。企業にとってはこれが人材の確保には欠かせない要素となった。
そこで企業はまず、人事・労務に関する制度設計や運用を適切に行い、次にその取り組みや成果を広く社会に広報していくことになる
が、悩ましいのは「客観性」だ。自社サイト等での情報発信は必須だが、「自社で言っているだけ」の情報では、求職者がその内容を確かめる方法がないからだ。
労務管理の現状をプロが診断 最適環境の実現を後押し
全国社会保険労務士会連合会では「人を大切にする企業」であることをアピールするための一つの手段として人事・労務管理の専門家である社会保険労務士(以下、社労士)が、企業の労務管理に関する取り組みを客観的に評価し、社労士の国家資格者としての信頼性を担保にしてアピールする「経営労務診断サービス」を推進している。
「経営労務診断サービス」は、人事・労務管理の専門家である社労士が、経営労務管理の基本規程(就業規則等)ならびに基本的数値情報(全従業員数のうち正規雇用の割合等)について、原則として毎年一回、確認・診断するもの。
このサービスを利用することで企業は、適正に法令を遵守しているか、法改正に伴う規程変更が必要かどうかなどを定期的にチェックし、最適な経営労務管理を維持できる。
また、企業は診断結果を「サイバー法人台帳ROBINS」に公表することができる。
これにより、次のメリットを享受できる。
①人事・労務の健全性を証明
②「人を大切にする企業」であることをPR
③優秀な人材の確保
活用事例などは、専用サイト「経営労務診断のひろば」(https://www.sr-shindan.jp )で公開している。
第三者のチェックを経た正確な企業情報をネットで
経営労務診断の結果を公表できる「サイバー法人台帳ROBINS」(ロビンズ)は、日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が運営する、第三者が確認した信頼できる企業情報を公開するWebサイトである。
JIPDECインターネットトラストセンターの永井久美子氏によると、ROBINSは、プライバシーマーク制度やISMS適合性評価制度などを運用するJIPDECが構築・提供しているインターネット上の企業情報データベースで、誰でも無料で閲覧が可能。現在は月に約80万ユニークユーザーの利用があるということである(2017年6月現在)。
国税庁が公表する法人番号情報と経済産業省の法人インフォメーション等の公的オープン情報をベースに、企業個々の付帯情報─法人名称、所在地、業務内容など基本情報やアピール情報、コンプライアンス情報も加味して公開している。
「ROBINSの情報は「確認者」として登録した社労士などの士業が第三者としてエビデンスに基づいて確認した後、掲載されるので、情報の信頼性が担保されます」と同インターネットトラストセンターの冨永優子氏は説明する。
さらに、企業が希望すれば、掲載情報のPR項目に自社製品や保有技術、得意分野なども登録できるので、事業紹介の場としても活用可能。加えて、ROBINSに情報を掲載した企業のサイトが本物(なりすましサイトではない)であることを証明する「ROBINSシール」が発行される。
経営労務診断結果は広くPRしてこそ意味がある
社労士による経営労務診断の受診結果をROBINSに掲載すると「経営労務診断シール」が配付される。シールを自社サイトに表示し、ROBINSにて正しい情報であると証明されていれば、「快適な職場環境を提供している企業」「安心して取引できる企業」であることを客観的事実として表明できる。
特に中小企業や個人事業主は、自社が「人を大切にする企業」であることを積極的にPRする方法として、経営労務診断サービスと「サイバー法人台帳ROBINS」を合わせて有効活用してほしい。
なお、経営労務診断を希望する際は近くの社労士に相談を。
経営労務診断サービスおよびROBINSに関する問い合せは下記の通りとなっている。
お問合せ
会社名 | <経営労務診断サービス> 全国社会保険労務士会連合会 |
URL | https://www.shakaihokenroumushi.jp |
会社名 | <サイバー法人台帳ROBINS> 日本情報経済社会推進協会 |
URL | https://itc.jipdec.or.jp/ |