知っておきたい最新用語解説―APIとは?
2018年 夏号 2018.07.31
用語解説 API(Application Programming Interface)
「API」はアプリケーション同士の機能をつなぐ窓口であり、IT活用を広げるカギとして注目されています。
従来はソフトウェアプログラムを別のプログラムから呼び出すための約束事を指していましたが、ネット企業の間で徐々に整備が進み、特定の技術や製品に依存しない標準方式が確立しました。
家に例えれば、奥のリビングには立ち入れないが、ノックして玄関先や客間までは入ることができ、モノや情報をやり取りする様子をイメージすると良いでしょう。
具体的には、Web画面上で地図やカレンダーなど他社のコンテンツを表示する際に使われるようになり、近年では、企業が持つデータやサービスをシステム上で連携する手段として利用が拡大しています。クラウドで提供されるAIや機械学習など高度なサービスを利用する際も、APIの機能を使うことになります。
銀行とIT技術の活用で金融に新しいサービスを提供するFinTechの関係を例にAPIの意義を見てみましょう。
金融における利用法をモデルに考える
FinTech企業が家計簿アプリを提供する際、銀行の口座残高などは不可欠な情報です。従来は情報をファイルとして送ってもらうか、専用のシステムを導入する必要がありました。これでは頻繁な情報入手は困難ですし、多額のシステム投資が必要になります。
インターネットバンキングの画面を自動操作し、情報を入手する方法がありますが、FinTechサービスの利用者は自分の口座番号、パスワードをFinTech企業側にも登録する必要があり、セキュリティ上の懸念が生じます。
一方、APIの場合は、利用者の承認に基づいて該当APIの利用を許可する鍵を作成し、FinTech企業に渡すので、利用者はパスワード等を預ける必要がありません。
銀行がAPIを提供することで、FinTech企業は低コストで柔軟に、そして安全に銀行情報との連携を行うことができるようになるのです。
APIを経由すると、他社のサービスを利用する側、自社のサービスを提供する側の双方にメリットがあります。
前者は、自ら構築するには膨大な投資が必要な機能をわずかな利用料で使うことができ、ビジネスアイデアがあれば、ごく短期間で事業を立ち上げることも可能になります。倉庫会社が提供する在庫管理のAPIを使い、倉庫を持たずにレンタル事業を立ち上げるなど様々な事例があります。例の倉庫会社は後者にあたり、取引先や取扱量を増やすことができ、自社のサービスを広める新たなチャネルになります。
このように、APIは企業間・サービス間の結びつきを促し、新たなビジネスを創造する土台の役割を果たします。今後、ますます広がっていくでしょう。