【用語解説】知っておきたいIT用語―「MaaS」とは?
2019.05.25
用語解説―Maas(Mobility as a Service) とは?
解説:水口和美氏 ARU 代表取締役
新たな「移動」のコンセプト
MaaS(Mobility as a Service)は、ICTを活用して交通をクラウド化・デジタル化し、すべての交通手段によるモビリティ(移動)を一つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念です。
2018年6月15日に閣議決定された「未来投資戦略2018」中に公共交通全体のスマート化<として 「MaaSなどの施策連携により、利用者ニーズに即した新しいモビリティサービスのモデル都市、地域をつくる」と記述されています。
デジタル化された車(コネクティッドカー)はIoT端末となり、車両データや交通情報がビッグデータとしてクラウドに蓄積され、AIで分析されます。このデータを用いて様々なサービスが展開されると期待されています。
人の移動(モビリティ)は、個人が車を所有して運転する従来の姿から、「移動サービス」として進化するものと考えられています。
MaaSは「CASE革命」
世界中の自動車産業は100年に一度といわれる大変革を迎えています。そのキーワードは、「CASE革命」。コネクティッド(接続性)の「C」、オートノマス(自動運転)の「A」、シェアリング&サービス(共有)の「S」、そしてエレクトリック(電動化)の「E」で、自動車産業はデジタルデータを駆使したモビリティサービスの提供という、全く新しい事業体に生まれ変わるものと思われます。
また、「CASE革命」を進めるのは自動車業界だけではなく、GAFA(Google,Apple,Facebook、Amazon )をはじめとする巨大IT企業やスタートアップ企業なども虎視眈々と新市場を狙っています。
例えば、Googleのアンドロイドオートや、傘下のウェイモは自動運転によるロボタクシーなど無人公共交通、アップルカーのタイタン計画、テスラのオートパイロットなど。中国の国家戦略であるNEV(中国新エネルギー車)も世界市場に大きなインパクトを与えると予想されます。
本当に所有から共有に変わる?
BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)から2018年1月に公表された資料では、自動車産業の付加価値は2035年までに1.5倍に成長。従来の個人所有型ビジネスモデルはほぼ横ばい、成長部分はすべてがMaaSによる自動化、電動化、デジタル化などによる新興事業になると予測しています。年率にすると27%もの高成長です。
この予測によれば、個人への販売ビジネスの縮小はないとされますので、自動車産業に従事する多くの中小企業には好材料です。
MaaS、CASE革命の本質を見極め、自社の強みを磨き上げることによって自社の市場をしっかり確保しましょう。そして、「新しい車」に必要な部材供給に果敢に挑戦し、100年に一度の大きなチャンスを掴んでください。