「キャッシュレス決済2020」 国際標準規格に対応せずにして東京五輪の「おもてなし」はない
2020年冬号加筆 2019.11.26
実は「非接触型IC決済」では、日本の「Suica」などと同じNFCという近距離無線通信技術が用いられている。ただ、NFCの中に複数の方式があり、「TypeA/B」を採用。鉄道の乗降者数が多い日本では、より処理スピードの速いFeliCaを採用しているため、FeliCa専用の端末では、使えないのだ。「共通部分が多いけど、ちょっと違う」のである。
ただ、最近は、NFC TypeA/B に対応する決済端末は増えており、ハードウェア面の条件は整ってきている。
また、日本で発売されている最新のスマートフォンには、どちらのNFCも搭載されており、カード情報をスマートフォンに登録しての非接触型IC「かざす決済」なら、どちらの方式でも使える(カード会社が対応している場合。スマートフォンに搭載されたFeliCaを使った「Quicpay」や「iD」は、すでに使っている人も多いだろう)。
東京五輪に向けて国際標準への対応を考える
オリンピックと決済といえば、オリンピックのワールドワイドスポンサーを務めているVisaの動向が気になるところだ。
ビザ・ワールドワイド・ジャパンでは、「オリンピックの会場では、国内の多くのお客様も新しい決済方法を体験されます。キャッシュレス決済への投資は、目先のことだけではなく、3年、5年先の社会動向を見据えて効果的、効率的な方法を選んでいただきたいと思います」と呼びかける。
クレジットカードの非接触IC決済(かざす決済)は、2019年10月現在、マクドナルド、ローソン、関西空港、成田空港、ゼンショーグループ、イオングループ(2020春までに完了)、京王百貨店など、大手企業での対応が進んでいる。中小企業も「近隣の人しか相手にしない商売」なら良いが、広く海外からの顧客も受け入れるなら、対応を考えたいところだ。
クレジットカード「かざす決済」の導入方法
Visaのタッチ決済に代表される、かざすだけで支払いできるクレジットカード/デビットカード(非接触型IC)に、店舗側が対応するにはどうしたらよいのか。