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「Visaのタッチ決済」の国際動向
 ―東京五輪へのキャッシュレス

2020年冬号 2019.11.20


国際標準を無視しておもてなしならず。クレジットカード/デビットカードの非接触型決済(かざす決済)は世界の潮流である。

そして、2020年は世界中から顧客を迎える東京オリンピック・パラリンピックが開催される。 オリンピックワールドワイドスポンサーであるVisa は、開催のたびに革新的な決済手段で話題を提供してきた。

東京五輪を契機に日本のキャッシュレス決済はどう変化していくのか。海外の動向と今後の展開を聞いた。 (文中敬称略)

 

「タッチ決済」の浸透へ東京五輪は貴重な体験の場になる
  ――――ビザ・ワールドワイドジャパン 寺尾林人氏に聞く

 

ビザ・ワールドワイド・ジャパン
コアプロダクト 部長
寺尾林人 氏

 

─五輪アスリートが登場する「タッチ」のCMが流れていますね。これが交通ICカード「Suica」のようにかざして決済できる方式ですね。

寺尾 Visa では、日本語でもわかりやすいように「タッチ決済」と呼ぶ非接触型決済です。EMVという偽造を防止するチップを搭載したカードを、対応端末にタッチするだけで安全に決済が完了します。カード会社によって規則は異なりますが、支払いがおおよそ1万円以下の場合、「タッチ決済」が使えます。

─マクドナルドやローソンで試しましたが、数百円の買物も暗証番号の入力なしに簡単にカード決済できるのは驚きでした。

寺尾 現金をお使いの方に新しいキャッシュレスの行動様式に慣れていただくには、インパクトのある利便性が必要です。

日本では、交通系ICカードでタッチする決済は当たり前になっていますが、電車に乗らない方もいらっしゃいますし、地域による違いもあります。皆様がすでにお持ちのクレジットカードやデビットカードに「タッチ決済」機能が付くことで、キャッシュレスのハードルがグッと下がると考えています。

 

豪では対面取引の10回に9回が「タッチ」に

 

─海外ではあっという間に普及したと聞いていますが…。

寺尾 ヨーロッパでは、英国、スペイン、イタリア、フランスなどはタッチが当たり前の状態に。オーストラリア、台湾、そして最近は米国も伸びています。オーストラリアでは、2011~2012年に2大スーパーが対応したことから、6年間で現金比率が25%下がりました。現在、Visaを使う対面販売の10回に9回は「タッチ決済」になっています。

海外の交通では、タッチでそのまま電車やバスに乗れる都市が、現在20 ほど。プロジェクトは150都市で動いています。

─となると、日本もインバウンド対応としても急務ですね。

寺尾 売上への貢献、インバウンドのおもてなしとして欠かせません。日本国内でも対応カードへの置き換えはスピードアップしており、2019年6月時点で国内の対応カードは1000万枚に達しています。「タッチ決済」の場合、会計に要する時間は現金決済の半分。レジ締めや釣銭準備の仕事も軽減されます。

─東京五輪での決済はどのようになるのでしょうか。

寺尾 生体認証やモバイル、ウエアラブルなどユニークなペイメント体験を検討しています。五輪会場での決済は現金とVisa だけになりますから、会場でタッチ決済を体験してくださる方も多いと思います。

─最後に中小加盟店の方々へのメッセージをお願いします。

寺尾 3年、5年先を見据えた最も効率的・効果的なキャッシュレス決済への投資として、Visaの「タッチ決済」は自信をもってお勧めできます。皆様の一番身近にあるカードを便利に使っていただくことは、より広いお客様を対象にする施策として有効と考えています。

―ありがとうございました。

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