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地域のIT活用支援活動―香川県

2020年冬号 2020.11.02


「うどん県IT活用推進コンソーシアム」の背景と支援内容とは?

 

18年のIT導入補助金にて、県内企業数あたりの採択率トップは香川県だった。

原動力の一つが、金融機関と専門家、IT企業による自律的な連携プロジェクト「うどん県IT活用推進コンソーシアム」である(香川県は、特産品であるうどんをPRするため、「うどん県」の通称を使っている)。

全国各地で中小企業のIT活用を支援する様々なプロジェクトが実施されているが、本コンソーシアムは、関係者それぞれがIT活用支援の必要性を感じ、互いのビジネスが成り立つことを意識しているのが特徴だ。

百十四銀行、高松信用金庫、ITコーディネータ(ITC)組織のITCかがわ(中庭正人会長、水本規代事務局長)を幹事メンバーとし、2018年春から試行錯誤しながら形を作ってきた。金融機関がIT活用のニーズを持つ企業を発掘し、自行融資先でのマッチングまたは、ITCへの支援依頼を行う。ITツールの導入に進んだ際、ITベンダーから紹介料を受け取るという流れだ。

経営課題に合うITツールを専門家がアドバイス

本活動の根底には、金融機関の課題意識があった。百十四銀行地域創生部の片山将光調査役は、次のように話す。

「IT導入補助金に呼応してIT関連のセミナーを開催し、ITツールを紹介しましたが、なかなかマッチングしませんでした。企業にはそれぞれ事情があり、私たちもそれほどITを知っているわけではないので、一金融機関だけではどうにもならないなと」

同じ頃、高松信用金庫では、「IT面も何とかしなければと思うものの、どう手を付けてよいかわからずにいました」と、業務推進部次長の小川敦史氏は振り返る。

その後、四国経済産業局の仲立ちで、金融機関と地元のITCかがわとのつながりができ、「ITで何ができるか」「この企業の場合、どんなITを活用すればよいか」の部分について、バトンを渡せるようになった。

「2018年のIT導入補助金では44社の導入が実現しました。これまでITベンダーと若干距離がありましたが、この取り組みで様々なソリューションを持つ企業の実態がわかったのも大きい」と中庭氏は話す。

さらに、水本氏が香川県よろず支援拠点、高松信用金庫共催のミニITセミナーで講師を務めるなど、継続的な情報提供活動も進み始めた。

IT活用支援への手ごたえ─両金融機関の担当者からは、そうした実感と活力が感じられた。地域活動は、キーパーソンの課題意識、意志、行動力に依るところが大きい。この部分は、同じ組織図を書いただけでは真似できないが、だからこそ個性が出てくる。