自動車整備工場のイメージを一変させ、業績を回復できた理由とは?
*IT導入補助金の活用接客力強化販売促進・問い合わせ増・PR顧客対応のスピード化顧客管理サービス業20人以下Web&SNS生産管理・原価管理顧客関係強化・営業支援
2021年冬号 2021.05.02
接客品質を磨き選ばれる店に!
まずは、顧客とデジタルでつながる
-沖縄県うるま市 自動車整備業 兼城自動車整備工場
明るいスタッフが出迎えてくれる温かみのあるお店。沖縄県うるま市・兼城自働車整備工場が5年以上にわたり取り組んできた改革の象徴が、顧客との接点である店舗と人である。
20代で三代目経営者となった兼城力也社長は、別事業での借金が残りスタッフも沈みがちな社内で苦闘を続ける。経営学を学び海外でのビジネス経験もあったが、現場との乖離に悩んだ。
「ようやく売上が伸び始めたとき、工場の在り方を変えました。暗くて入りにくい整備工場ではなく、女性が一人で入れて『また来たい』と思われる店に」
兼城社長は当時をこう振り返る。従来からの車検、点検整備に加え修理・新車販売も手掛け、一人の顧客と長くつきあえる事業体制とした。事業目的を「車を通じた喜びある人生のサポート」と定めた。
社内では「環境のせいにしない現状打破型の人になろう」と呼びかけ、接客品質の向上等、研修も重ねている。
会社概要 | 有限会社兼城自動車整備工場 |
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住所 | 沖縄県うるま市字栄野比715-1 |
設立 | 1989年 |
従業員数 | 20名 |
事業内容 | 自動車整備、車検、新車販売等 |
URL | http://kaneshirojidousha.com/ |
顧客が望む手段で車検の案内を自動配信
IT面では、自動車整備の案件を管理するソフトは導入していたが、車検予約の受付など顧客との接点は電話ベースだった。
電話はつながらないことも多く互いに不便だが、スマートフォンの普及で、メールやSMSならコンタクトしやすい。そこで、車検の時期が近づくと自動的に案内でき、顧客も予約しやすい仕組みにするべく、2019年秋、自動車整備業向けITツール「コネッド総合プラン」(ゴールドバリュークリエーション提供)を導入した。
過去のコンタクト履歴を登録し、さらに整備管理システム情報とのデータ連携で、顧客情報と車両情報を取り込んだ。車検時期が近付いた顧客には、メールやSMS、LINEなど、顧客が望む手段で案内を手間なく送信できるようになった。送信時は、一人ずつに固有のURLが振られ、顧客は3回のクリックで簡単に予約が完了するという。
一方、新規顧客獲得に向けては車検専用のWebサイトを作り、電話・ネット予約の両方に対応。広告の反応を検証しながら改善を重ねている(受けた予約情報はシステムに統合される)。
「昼間は電話に出にくいので、メールで連絡があるのはありがたい」と顧客の反応は上々だ。社内では、案内に反応がない顧客にだけフォローの電話をすればよく、業務効率が上がっている。
整備工場に求められるシステムの構築に着手
システムが本稼働した2020年、コロナ禍に見舞われた。
「レンタカー関連分野は厳しいですが、6か月間の個人の予約数は紙+電話の時代に比べて130%になっています」と兼城社長は状況を話す。ITの活用が奏功しているのだ。
その日に来店する顧客については、情報(前回の来社で何をしたか、車を買い替えたのはいつかなど)を参照して頭に入れ、一人ひとりに応じた接客を心掛ける。ホームページと店舗の印象が一致し、兼城自働車整備工場のブランドを感じてもらえるよう、対応品質の向上にも常に努めている。蓄積したデータを最終的に経営に生かすのは、人のホスピタリティだからだ。
そして、現在、更に新しいITツールの開発を進めているというから驚きだ。
「すぐ欲しい部分をシステム化しましたが、次は、顧客視点での整備管理、予約システム、売上・入金情報の会計システムとの連動、経営数値の把握などを一つでカバーするITツールを、ゴールドバリュークリエーションさんと一緒に構築しています。同じ悩みを抱えている全国の整備工場の方々にも使ってほしい。特にデジタルに抵抗がない私たちの世代の方には“いいね!”と感じてもらえるはずです」
コロナ禍で原点に立ち返り本質を見直したという兼城社長は、「ワクワクが止まりません」と力強く、笑顔で語った。
ITベンダー紹介
ゴールドバリュークリエーション(沖縄県北谷町)
ツール名:コネッド総合プラン
ゴールドバリュークリエーションの「コネッド総合プラン」は自動車整備業務において、多様な接点で顧客との関係を強くしながら、業務プロセスを管理できるITツール。
金見義教社長は、「企業のIT活用においては、何が必要で何を良しとするかを利用企業としっかり話し合えることが成果につながる」とのポリシーを持っている。
兼城自動車整備工場・兼城社長が同社を選んだのは、目的に沿ったITツールであったことはもちろん、企業姿勢に触れて「共に良いものを作れる」と感じたからという。
2021年春完成予定のシステムも「共創」して構築中だ。