親近感のあるSNSでファンとの絆を強化!リピーターからの波及効果も狙う
2015年 冬号 2015.09.24
東京メトロ副都心線と東急東横線・みなとみらい線の直通運転で都内北部や埼玉県からのアクセスもよくなった横浜。その観光スポットの中心である横浜中華街の入口に、ローズホテルズ・インターナショナルが運営する「ローズホテル横浜」がある。
そもそもは1959年に開店した四川料理の草分け「重慶飯店」の創業者が、1981年に「ホテルホリデイ・イン横浜」として開業。2003年にオリジナルブランドの現ホテルへと生まれ変わった。ホテル内には本格的な四川料理店もあり、宿泊を組み合わせたパッケージプランも提供されている。また、老舗の味を愛する地元の人々に向けた同窓会プランなども好評を博している。
ページ冒頭の写真は、株式会社ローズホテルズ・インターナショナルのセールス&マーケティング部 部長代理 斉藤きよみ氏。
社名 | 株式会社 ローズ ホテルズ・インターナショナル |
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所在地 | 神奈川県横浜市中区山下町77番地 |
従業員数 | 192名 |
事業内容 | ローズホテル横浜および重慶飯店新館をはじめとする館内の各種施設の運営 |
URL | http://www.rosehotelyokohama.com/ |
多彩なITツールで情報発信個人利用の経験が成功の秘訣
ホテルや飲食業における商売の肝は現場の品質―設備や味、サービスの良さを感じてくれるファンづくりだ。
同社のセールス&マーケティング部・部長代理の斉藤きよみ氏は、「リピーターとなってくれるファンをいかに作るか、ファンとのつながりをいかに強くしていくかがとても重要だと思っています」と話す。
その手段として、同社はITツールの活用を積極的に進めている。自社ホームページやスタッフブログ、旅行ポータルサイトはもとより、FacebookにTwitter、YouTube、Instagramと利用するツールは多岐にわたり、それぞれの特性を生かしてうまく使い分けている。
ホームページは基本的にショーウィンドウ的なもの、Twitterは不特定多数への情報拡散を狙ったツール、ファンとの交流を深めファンを増やしていくのはFacebookだという。
公式ページの開設は2011年1月だが、それ以前からローズホテル横浜や重慶飯店の情報はFacebook上で発信されている。実は、李宏道社長をはじめとする役員クラスが個人アカウントを持ち、プライベートな投稿の中でビジネスに関する話題にも触れていたのである。
「当社には、新しいものにスピーディに取り組んでいくという文化が根付いています」と斉藤氏は説明する。Facebookに関しては自身も早期に個人アカウントを取得した。
「Facebookはそもそも個人同士のつながりを作っていくものなので、誰でも同じ情報を見られるホームページやブログとは異なります。自ら投稿やコメントをしてみて、『こう使えば効果的だ』と体感することが大切です」
Facebookの投稿がヒット商品誕生のきっかけに
Facebook公式ページのファン=「いいね!」の数は、ローズホテル横浜が約4600、重慶飯店が約4000となっている。
この数値が効果測定の1つの指標になっているのは確かだが、同社ではむしろ個別の投稿に対する「いいね!」「コメント」「シェア」の数を伸ばす(エンゲージメント率を10%以上にする)ことを重要視している。「投稿ごとへのアクションは、内容がきちんと見られているということですし、そのファンの”友達”にも情報が広がっていることになるからです」と斉藤氏は説明する。
Facebookの投稿がきっかけで生まれたヒット商品もある。重慶飯店の本館のみで提供している「白担々麺」だ。裏メニューで出されていたものが好評だったためFacebookの記事にしたところ、「食べてみたい」というコメントが多く寄せられ定番メニュー化された。投稿をきっかけに、某百貨店の催事会場で紹介されることにもなったという。
ファンもメディアもSNSの情報に敏感に反応
また、毎年夏場にオープンするホテルの屋上プールの写真・動画入りレポートを公式ページに掲載していたところ、プールに来ていたファンから「記事に出たい」という希望が相次ぎ、利用客の写真入りレポートが続けざまにアップされた。まさに「ファンづくり」が進んだのである。
Facebookによる情報発信を始めてからリピート率やホテルと飯店の横断的需要にも少なからぬ効果が見られている。
さらに斉藤氏は、「最近はSNSの記事をきっかけにメディアの取材依頼が来ることも多い」と付け加える。その一例が、家庭で作れる本格中華料理を紹介しているYouTubeの「重慶飯店」チャンネルだ。この動画を見た某テレビ局の料理バラエティ番組スタッフからオファーが寄せられたという。
同社では今後も、新たなITツールを積極的に取り込み、写真や動画をうまく活かしてファンとの絆をより深めていく考えだ。
ツールの数が増えれば増えるほど業務負荷も重くなるが、「投稿した記事に反応があるととても嬉しい。そうしたファンとの交流を楽しんで続けていきたい」と斉藤氏は明るい笑顔でポジティブに語っている。